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Mental Relation
1
「俺、キモチヨク、マンゾクできないと駄目なの。お前じゃ役不足。だから。もうお前とはしたくないよ」
何度目かの雨の日。
何度目かの性交渉。
何度目かの八戒の俺への『アイシテル』という、言葉。
その後に言った俺の言葉。
「さっきまで、僕の下で可愛く、あえいでた人の言葉ではないですよね」
ベットに座っている俺を見て、ニコヤカニ笑いながら言う八戒。
動揺してるのを隠すのがうまいね〜。
でも、伊達にお前を見てたわけじゃないから、わかってる。
俺が目をそらさないでいると、ふっと目をそらし、コーヒーサーバーの方へ行く。
動揺してるときって、必ずそうするよね八戒。まぁその前から手が少し震えてたからすぐ判ったけど。
「んー。俺ってば演技うまいし♪俺が感じてると思ってた?」
ベットに再度ねっころがりながら言う。
入れたコーヒーをテーブルの上に置いてから俺のそばにきて、八戒が俺の上にのる。重いって。
「そうですか」
そう言いながら俺をじっと見る。
いつもなら、目をそらしちゃうんだけどね、今日はそらせない。
「あの〜。八戒さん。重いんですけど」
茶化した口調で言う。
「さっきまでと同じ体制ですよ。入ってるか入ってないかの差は有りますけど」
「あら〜露骨。何を必死になってるんですか?八戒さん。SEXにおいて、役不足なだけで、オトモダチとしてなら親友でも何でもなりますよ」
ニヤッと笑って八戒を押しのけるように起き上がろうとする。
「ってぇ」
思いっきりみぞおち殴らなくっても良いだろ畜生。
「僕の気持ちは?」
そう言って俺に口付ける。
俺はそれを手で払いのけながら、
「助けてもらってさ、ここにいて良いよって言われてさ、居場所もらったから、家族愛みたいなの感じちゃって、それ勘違いしちゃったんじゃないの?」
って言う。
振り払った手をつかまれさらに、頭の上にもっていかれ、ベルトでベットに固定される。えーっと八戒さん器用だよね〜って感心してる場合じゃなくて、これ以上は勘弁なんですけど。
「八戒。俺、男だから、心なくてもSEXできるよ。でも、その場合キモチヨクナイと駄目なの」
「気持ちよくなかったですか?」
そう言いながら服のボタンを外してく八戒。
や。だから、やめて欲しいんですけど。
「んー。さっきも言ったじゃん。お前じゃやくぶそくっ。んっ」
ボタンを外し終わって、俺の体を触る八戒の手に感じでしまい、思わず声を出してしまう。
やばいって。
「こんなに感じてるのに?」
俺の方を見て笑いながら言う、八戒。
確かに感じてますけどね〜。触られりゃ、気持ち良いし。
「やられりゃ痛いからねー。少しでも快楽拾っとかないと♪その量が少ないのよ♪八戒さんの場合。だから、役不足♪」
息あがってて言ってもカッコつかないけど、でも、生理現象だし的な感じで言う。
八戒器用だから、きもちよくないわけじゃないし、満足してないわけじゃない。けど、気付いちゃったし。
いつも見てるのは俺じゃなくて別の人間で、俺はその代わりって事。
女相手でも男相手でも、俺の気持ちはどうであれ、相手の気持ちは自分の方を向いてる人間とヤリタイ。
気持ちが向いてないとムナシイから、もうしたくない。
本当は傷付ける言葉で拒絶したくはなかったけど、男相手に自分から振られるのって嫌じゃん。
俺にもプライド有るしね一応。
だから、今日で終わりにしときたくて、傷付けるコトバを吐いた。
これ以上されると、俺がマジになりそうで、きついから。
「本当に、僕じゃ駄目なんですか?じゃぁ誰なら良いんですか?」
なきそうな声で下向きながら言わないでくれるかなぁ?八戒さん。俺が悪いみたいじゃん。
や。俺が悪いんだけどさ。
「八戒さんの知らない人。それよりさ腕のベルトほどいて、俺の上からどいてよ」
少し低めの声で抑揚なく言う。
八戒の気持ちを拒絶するように。
八戒は無言で、俺の言葉に従ってくれる。
元の関係にも戻れねぇな。きっと。
「言葉を…」
ボソッと八戒が言う。
「コトバがどーしたんだ?」
手首をさすりながら、起き上がりつつ問い返す。
「『アイシテイマス』というコトバは貴方には禁句だったのでしょうか?」
「コトバなんかは別に嘘でも言えるじゃん。だから関係ないし。別に八戒の気持ちを重いって思ったわけじゃねーよ」
そう言ってタバコに火をつける。
「何故?」
拒絶されることを怖がっているようにしか見えない。
八戒の苦しそうな姿を見ていると、まぁこのままでも良いかなぁって流されそうになる。
「俺の我侭かなぁ。満足できなくなる。もっと上、もっと上ってね」
八戒を見て笑いながら言う
「本当に?本当にそうなら、何故、貴方は…」
八戒が、言葉を切り俺の頬に手を触れる。
自分の、ジーパンに水滴が落ちて何か気持ち悪い。あれ、俺泣いてる?まさかな。だけど何で、視界がぼやけてるんだろう?
いやだなぁ、泣いてたら、すげーみっともねぇ…。
そう思い八戒の手を払いのけて、俺は外に逃げた。雨の日だから、追ってこないと思って―。
ある程度逃げて、雨宿りできる木を見つけその下でぼーっとする。
タバコ…。
ポケットの中にはラスト一本のタバコ。
これからどうすっかなぁ。そんな事を思いながらそれを吸う。
ふと気付く。後ろの気配。八戒だ―。
気配消しても気付かないわけないじゃん今日みたいな日は。
俺だってそこまで鈍感じゃない。
「お前はさ、俺通り越して別のやつ見てるよ。いい加減に気付いたら?」
八戒のいる方向に背を向けて独り言のように言う。
「そんなことはないです。僕はあなたのことがっ」
めづらしく、ムキになって訂正する八戒。
「男同士で、SEXするのってさ非生産的な事だし、受ける場合、快楽と共に苦痛も伴うし、だからどうせなら気持ちが自分の方を向いてる人間とヤリタイなぁって思ってるわけ。まぁ、女相手でもそうなんだけど。気持ちが向いてないとムナシイから、もうしたくない。」
「何故、僕の気持ちが貴方に向いていないと思うんです?」
あまり言いたくないから、嘘をつく。
「徹底的なの教えよっか。しかも男として最低なことしたって事」
「どぉゆう意味ですか?」
「も、ホントそのまま。前に寝た後に、他のやつの名前呼ぶやつって最低って言ったじゃん俺」
うまく嘘をつけなさそうだから八戒に見られないように背を向ける。
「それが?」
「八戒、いくときに、俺とは違う人間の名前言ったよ。だから、」
これ以上聞かないで欲しい
「花喃の名前ですか?」
「それだったらねーしょうがないかなぁって許せるんだけど。違う人間で男の名前『 』ってね」
わざと名前のところは声を出さずに言う。
「そんな事は絶対に有りません。僕があの人の名前を呼ぶなんてっ!」
そう言いながら、俺の腕をとって自分の方を向かせようとする。
「男と寝てて他の男の名前呼ばれるなんて、最低だとおもわねぇ?俺そんなにかいしょーないかねぇ?まぁ。別にね誉められた人生送ってるわけじゃないし、俺ってば、アイツと違ってヨゴレテルシネ」
八戒ほうを見ずに下を向いて言う。
「そんなっ。そんな事はっ」
「俺に。さわんな。しばらく、一人になりたい。家に帰ったときには普通に。お前とネル前の関係の状態に戻るから。今は、一人にして欲しい」
八戒の言葉をさえぎり、
その手を振り払い、
そして、静かに、静かに言う。
これが拒絶。
最後の徹底的な拒絶。
「何故、そう思ったんです?」
ボソッと言う八戒
「自分の気持ち知ってて偽って抱いてりゃ、誰にでもわかるよ。気持ちがこっち向いてないって」
抑揚無く言う俺。
「貴方のこと好きです。あの人に対する思いとは別に」
情けない笑い方をする八戒。
「俺、全部かゼロが良いから」
タバコ。あぁ、切らしてんだっけな。チクショウ。
「自分は二股かけても?」
笑いながら言う
「それはそれ、これはこれ。俺は、どっちに対しても本気じゃねーし」
笑い返しながら言う。
「本気じゃなければ、別に僕の気持ちが向いてなくても良いじゃないですか?」
「相手はね、俺の方向いててくれなきゃ嫌だから、我侭っしょ?」
少し困ったような顔をしながら、
「貴方の事。本気で好きですよ。僕ともあの人とも同じことをしてるって知ったときはショックでしたけど。でも、それでも貴方の事好きですよ。貴方が必要だと思ったらから、あの人ともしたのでしょうしね」
「浮気してたのに、何も言わなかったのは、身代わりだから、怒んなかっただけでしょ?」
そう言うと、八戒は驚いたように俺を見て言葉に詰まる。
図星。なんだろうな。俺は笑いながら八戒に背を向け、その場を離れた―。
八戒はもう追ってこなかった―。
当然だよな…。
俺は逃げるように、あいつのいる寺院へ行った―。
進→