不機嫌な太陽     −金蝉−





めぐりあひて見しやそれとも分かぬまに 雲がくれにし夜半の月影 <紫式部>

  いったいあいつはいつもいつも

  ここへ何しに来やがんだ?

  そして、来たかと思ったら

  くだらねえ事をべらべらと一方的にまくしたてては

  さっさと帰りやがる・・

  訳分かんねえ・・



今来むと言ひしばかりに 長月の有明の月を待ち出でつるかな <素性法師>

  ・・・今夜、お邪魔してもいいですか?・・・

  って、てめえが言ったから

  こうやって待っててやってんだろっ!

  いったいいつまで待たせやがんだ!!

  どうせまた、面白い本でも見つけて

  のめりこんでんだな・・

  イーイ度胸だ! ブッ殺す!!!



みちのくのしのぶもぢずり たれ故に乱れそめにしわれならなくに <河原左大臣>

  なんでこんなイライラすんだ?俺は・・

  いつからだ? あのサルのせいか?・・

  ・・・悟空が来てから楽しそうですねぇ・・・

  誰がっ?!

  ・・・いいなぁ、悟空は・・・

  どこがっ?!

  ・・・貴方にとっても良い名前付けてもらって・・・

  なに言って・・

  ・・・心配してもらって・・・

  ・・・怒ってもらって・・・

  ・・・ぶってもらって・・・

  ・・・ぐりぐりしてもらって・・・

  ・・・優しい目で見つめられて・・・

  ・・・貴方の髪に自由に触れられて・・・

  ・・・同じ部屋で眠れて・・・

  ・・・それから・・・それから・・・

  あーイライラするっ!!!

  お前以外の誰のせいで

  こんなイライラするかってんだっ!!!



長からむ心の知らず 黒髪のみだれて今朝はものをこそ思へ <待賢門院堀河>

  ・・・本当に綺麗ですねぇ・・・

  ・・・貴方のその流れるような金糸・・・

  ・・・ねぇ、触れさせては貰えませんか?・・・

  ・・・やっぱ、ダメですよねぇ・・・

  いったい何処から何処までが本心だ?!

  本当にそう思ってんなら触れてみろってんだっ!

  そうだ、いっそ乱してみろよっ!!

  もしそれがお前に出来たなら

  その射干玉(ぬばたま)の黒髪

  俺が倍以上に乱してやる・・・



忘らるる身をば思はず ちかひてし人の命のをしくもあるかな <右近>

  ・・・大好きですよ・・・

  そう言ったはずだ

  ・・・愛してます・・・

  あれは皆嘘だったのか?

  ・・・すみません・・・

  何で謝るっ?! 何を決め付けてるっ?!

  ・・・忘れてください・・・

  お前はそれでいいのかっ?!

  ・・・さようなら・・・

  本当にそれでいいのかっ?!!!



<願はくは花のもとにて春死なむ そのきさらぎの望月のころ <西行>>

  ・・・共に下界に堕ちてくれませんか?・・・

  確かそうも言ってたな

  今となってはそれが嘘であろうが本心であろうが

  もうどうでもいい

  上等だ!

  堕ちてやろうじゃねぇか!

  今更後悔すんじゃねぇぞ!

  てめえが何処にいようがぜってぇ見つけて

  嫌でも俺の前にひきずり出してやるからなっ!

  覚えてろ!!!



天の原ふりさけ見れば 春日なる三笠の山に出でし月かも <安倍仲麿>

  その言葉通りか否か・・・

  地上に現れし

  太陽と見紛うばかりの

  不変の望月





 


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