〜 夜の蛾 〜

街燈の明かりに迷う夜の蛾のように光を求めて彷徨う。
誰のものでもないその光を奪い合い、殺し合い、血を流す。

「I want some more.」(もっとおくれよ)
だけど本当に欲したものは多分それじゃないから、
いくら手に入れたところで満たされる事はない。

「Give me some more.」(もっとおくれよ)
迷える子羊、その実、神の末裔。

自分が何者かを思い出してしまう不安を打ち消すためにも、
迷い続け、外側に光を求め、誰かを神に祀り上げる。

「As You wish.」(差し出しましょう。全て持ち去ればいいのに。)
そういって立ち尽くす私の目の前で、あなたは足りないと子供のように泣き続ける。


闇を恐れないで。
ただ立ち止まって、あなた自身を覗き込んで。
あなたの求める光は、きっとそこにあるのだから。
私が与えられない光がそこにあるのだから。
あなた自身が光なのだから。

思い出して。
あなたという明かりに惑わされてあなたにたどり着いた、
私こそが夜の蛾。
そしてあなたこそが、私を誘惑する光。



〜 2002.01.27 by kei

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