花愛でしますらを     − 捲簾 −



夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを 雲のいづこに月宿るらむ <清原深養父>

  花もいいけど

  月もいいぜ・・

  今夜は月見酒、と洒落込もうと思ったのによー

  なんだ、もう夜が明けてやんの

  これじゃあ、何処に月があんのか分かんねぇな・・

  いや、俺のめでてえ月も

  太陽にゾッコンでさ

  今頃何処に居んだかなぁ・・・



心あてに折らばや折らむ 初霜の置きまどはせる白菊の花 <凡河内躬恒>

  んなにあいつがいいのかねぇ

  まあ、美人っちゃぁ美人だけどな

  清廉な気高さってやつ?

  手折ってみたくなる気もしないでもないかな・・・

  やべ、天蓬に殺されっぞ

  ま、俺はやっぱ桜がいいや

  優美で・・

  妖艶で・・

  幽玄で・・

  儚げで・・

  それでいて潔くて・・

  ・・・・・まるで天蓬のことじゃねぇ?

  ははは・・

  相当ヤキがまわったな、俺も・・

  んじゃまあ、どっちの花にも

  乾杯!



かくとだにえやはいぶきのさしも草 さしもしらじな燃ゆる思ひを <藤原実方朝臣>

  いつのまにこんななっちまったんだ、俺・・・

  いやね、火が点いちゃったのよ、ココに・・

  相当キちゃってんのよ

  でも言えねぇだろ、まさか・・

  俺のことなんてまるで眼中にねぇし

  しかも野郎だぜ・・

  まいったよなぁ・・・

  ま、こんな時は花でも見ながら

  旨い酒でものむに限るな・・・



花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり <入道前太政大臣>

  桜はきらいじゃねぇ

  いやむしろ好きだ

  桜が舞い散るのもきらいじゃねぇ

  その中で飲む酒もまた格別だ

  だが、なんだ、この風は?

  限度があんだろ、限度が!

  これじゃ風流も何もあったもんじゃねぇ!

  散り過ぎだ!

  なんかあるっていうのか?

  ま、いつでも堕ちる覚悟はできてっけどさ

  なぁ、天蓬・・・お前もだろ?・・・



ちはやぶる神代もきかず 龍田川からくれなゐに水くくるとは <在原業平朝臣>

  お前らだけ逝かせねぇ!

  天!! お前だけで逝かせねぇっつってんだよ!!

  いいぜ、持ってけ!

  俺の血

  全部お前にくれてやる!

  今まで見たこともねぇ紅の川

  此処の奴らに拝ませてやろうぜ

  なあ!天蓬!!!



高砂の尾上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ <前中納言匡房>

  ・・・・・桜・・・・・咲いてんなぁ・・・・・

  ・・・・・・・綺麗だ・・・・・・・

  ・・・・やぁべ・・・・・目が・・・・・かす・・んで・・・・・

  ・・・・・・・・・・見え・・・・・・ね・・・・・・・・・・・ぇ・・・・・・・・・・



ほととぎす鳴きつる方をながむれば ただ有明の月ぞ残れる <後徳大寺左大臣>

  そして・・・・・

  地上には

  かの人が愛でし月・・・

  ・・・いまひとつ

  かの人の愛でし桜が咲くのは

  これから来る厳しい冬を乗り越えた

  そのあとのこと・・・・・




 


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